2014年9月16日火曜日

公開臨湖実習2「湖沼の外来生物問題の最前線~外来ナマズ調査から理解する~」

9月13日~15日の3日間、全国の大学生・大学院生を対象にした公開臨湖実習2「湖沼の外来生物問題の最前線~外来ナマズ調査から理解する~」が、水圏センターで行われました。8月中旬に実施した公開臨湖実習1「湖沼環境問題の最前線~霞ヶ浦での調査・実験から理解する」は、湖沼環境問題を広く学ぶ内容でしたが、今回は、水辺の外来種問題に特化して実習を行いました。キャッチフレーズは、「追跡!巨大ナマズ~霞ヶ浦で徹底調査!」です。 

 巨大ナマズ(=外来魚チャネルキャットフィッシュ)を含む湖沼・河川の外来種問題、利根川水系の淡水魚、釣獲調査、水辺の環境教育などに興味のある、11大学(東北大、立正大、中央大、農工大、学芸大、海洋大、富山大、滋賀大、大阪大、鹿児島大、琉球大)の学生(理学・農学・水産学・工学・教育学などを学んでいる学部1年生~博士前期課程1年生)計14人が参加してくださいました。今回の実習メニューは次のようなものでした。

<実習メニュー>

 首都圏に位置しさまざまな湖沼環境問題に直面している霞ヶ浦を調査フィールドに、湖沼の外来生物問題の現状と課題について、実際にフィールドで体感しながら学ぶ。
 

環境調査:沿岸帯での水温,透明度,pH,溶存酸素量等の測定と水質分析
在来生物の生息状況調査:地曳網,投網,定置網等を用いた魚類の採集,プランクトンネットや採泥器などを用いたプランクトンと底生動物の採集,顕微鏡を用いた観察・同定・計数など

チャネルキャットフィッシュの生息状況調査

・チャネルキャットフィッシュの生物学的特徴を探るための解剖
実習生のアイデアによる防除手法の開発・試験
まとめの
グループディスカッション

 実習生には、このようなメニューについて個々の視点で学んでもらいました。最終日に、外来魚問題(とくにチャネルキャットフィッシュ)について、班ごとに分かれてグループディスカッションを行いました。最後に、 「チャネルキャットフィッシュとどう付き合っていけばよいのか?」と題して、参加者全員で自由に意見交換を しました。

 意見交換会では、チャネルキャットフィッシュの生態研究や駆除手法の開発、地域でこの問題にどのように取り組むべきか、霞ヶ浦からの拡散防止策、遊漁制度、教育活動や普及啓発活動などについて、今までにないアイデアがいくつも出てきました。

  実習後には、「外来魚が引き起こす問題やその対策の難しさについて、本当に深く学ぶことができた」との感想をいただきました。また、「全国から同じような興味をもった大学生が集まり、大学間や異分野交流ができたことが何より良かった」との感想も多くの学生からいただきました。

  実習生のみなさん、3日間、本当におつかれさまでした。また、いつでもセンターにいらしてください。水辺の生き物や環境問題に興味のあるみなさんのために、水圏センターの扉はいつでも開いています。
(センタースタッフ&TA学生一同)

参加者で集合写真

駆除試験の準備中

初日の試し釣りで釣れたチャネルキャットフィッシュ

チャネルキャットフィッシュの胃内容物:3種も食べてます!

小型地曳網調査を体験中

タモ網採集を体験中

TA学生が外来ナマズの生態を説明しているところ

2014年9月12日金曜日

信州大学の先生・学生が臨湖実習で来所

9月9日~12日、信州大学の山本先生と学生6名が臨湖実習のために来所されました。北浦周辺での生物調査、外来ナマズの釣獲調査、北浦湖心での船上調査、実験室でのプランクトン観察などの実習を実施しました。また来年もお待ちしています。(センタースタッフ)

2014年9月6日土曜日

理学部陸水環境科学実習

9 月1日~5日の5日間、理学部3年生を対象とした「陸水環境科学実習」が水圏センターで行われました。この実習では、霞ヶ浦(西浦・北浦)を調査 フィールドに、陸水環境科学、とくに湖沼に関わる環境科学の基礎をじっくりと学びます。今回は、次のようなメニューでした。

<今回の実習メニュー>


1日目:
    <午前から夕方>
     バスツアー:霞ヶ浦(西浦)の自然・再生植物帯での調査
            (人工池での沈水植物の観察も)
     特定外来生物カワヒバリガイの観察と採集
 二枚貝の濾過摂食実験 
<夕方~夜>
  チャネルキャットフィッシュ駆除釣り大会
2日目:船上での湖沼調査、湖心部と沿岸部での環境要因調査・生物調査など
(クロロフィル量の測定、パックテスト、イオンクロマト、ユスリカ幼虫の拾い出し・同定、動物プランクトンの同定・計数も学ぶ)など)

     放射能測定実演など
3日目:各種漁具(手網、投網、定置網、地曳網)での魚類の採集
魚類の観察・同定・胃内容物解析と食物網図の作成
4日目:センター内の見学とモーニングセミナー
     データ整理・実習成果発表会準備、小レポート作成
5日目:まとめのディスカッション

*釣り大会時に大風が吹いたりもしましたが、5日間にわたって、霞ヶ浦でのさまざまな実習メニューに真剣に取り組んでくれたので、TA&教員も安心しました。実習生のみなさん、本当におつかれさまでした。また、いつでもいらしてください。(TA&教員一同)

北浦の沿岸帯で魚類・エビ類採集のあとの一コマ

水路での魚類調査について説明中

投網で魚をとっているところ

夜間に釣れた外来ナマズ

BBQで懇親会

2014年9月1日月曜日

巨大な草魚(全長122cm)を捕獲!

一昨日、霞ヶ浦のヨシ帯で水生生物の調査を行っていた東大水域保全学研究室のUさんたちが、中国原産の外来魚ソウギョを捕獲しました。全長は122cm, 体長は102cm(以下の写真)です。

ソウギョ(草魚) 全長122cm
成長が早く大型になるソウギョは、中国では養殖対象にされ、庶民によく食べられています。同じようによく利用されているハクレン、コクレン、アオウオとともに、四大家魚とも言われています(ブタやウシなどの「家畜」に対して、「家魚」です)。

霞ヶ浦・北浦を含む利根川水系には、1940年代に食糧増産などを目的に中国揚子江原産の種苗が放流されました。その後、自然繁殖するようになり、利根川水系に定着しました。ちなみに、このソウギョの種苗に混入して、タイリクバラタナゴやハクレンなども侵入してきたとされています(タイリクバラタナゴは日本固有のニッポンバラタナゴを絶滅の危機に追いやっている外来魚、ハクレンは繁殖時に水上にジャンプする画像がテレビでよく映される巨大魚)。

ソウギョ(草魚)は水草をよく食べる習性があるため、最近は、除草のために各地の公園池やお堀などにも放流されています。ただし、希少な水草までも食べてしまうことから、環境省によって「要注意外来生物」として扱われています。

それにしても、これほどのサイズのソウギョは、教員も学生もはじめて見ました。(加)

居合わせたメンバーとともに。デカい!