2013年10月27日日曜日

東京環境工科専門学校のフィールド実習

 2013年10月21日~24日に、東京環境工科専門学校(TCE)の先生・学生12名が来所され、北浦と周辺水路でフィールド実習が行われました。

 今回の実習期間中は、台風26号の影響で北浦が著しく増水しており、湖の沿岸帯に立ち入ることができなかったり、船が出航できなかったりしました。そのため、いつも実施する臨湖実習の内容を、次のようなメニューに変更して行いました。

1日目:
  午後:センター駐車場で投網の練習、周辺水路に定置網を設置

2日目:
  午前:水路の定置網を回収、湖岸からの投網と手網での魚類の採集
  午後:①採集された魚類の観察、同定、計数
       ⇒採集方法や場所による出現魚種の違いを把握
              ②全魚種の胃内容物調査
       ⇒食物網図を作成し、湖沼生態系の仕組みについて考える

3日目:
  午前:湖水濾過と水質分析、植物プランクトン、動物プランクトンの採集、
       ユスリカ等のベントスの観察と同定
     午後:センター周辺の農業用水路などで手網・サデ網や投網での魚類採集
      (学生たちが自由に採集しました、いろいろな魚種が採れました!)

4日目:片づけ&実習のまとめ

  日本各地でフィールドワークの経験を積んできた学生たちとは聞いていたのですが、フィールドワーク能力の高さに驚かされました。期間中は当番制で自炊していたのも印象的でした。採集したアメリカナマズ、ブラックバス、ウシガエルなども上手に調理して食されていた様子。
  学生たちの将来が楽しみです。次の機会の来所もお待ちしております。(センタースタッフ)


まずは駐車場で投網練習

湖で投網を実体験 (増水してますが、20~30cmほどのボラがたくさん採れました!)

手網での生物採集を練習中 エビ類やヌマチチブが採れました。

魚類サンプルを調べているところ

魚類の食性調査結果から食物網の図を描いているところ

2013年10月20日日曜日

埼玉県高校生物教員研修

20131019日~20日に、埼玉県の高等学校で生物を教えている先生方7名が研修のために来所されました。  
 当初は、北浦や周辺の水路での魚類の採集調査やサンプル解析を予定していたのですが、台風26号やその後の集中豪雨の影響で北浦が著しく増水していたために断念しました。
 その代わりに、2日間にわたって、次のような魚類学実験のメニューを実施しました。ただ、こちらはこちらで、なかなか好評でした。

■19日午後:地元スーパーの食材魚を用いた魚類学実験
 日本人にとって最も身近な動物の一つである「魚類」について、系統分類学的な位置、体の構造や機能、生態学的な特性などを、他の動物との違いから説明しました。さらに、地元スーパーで売られている食材魚(サンマ、アカカマス、アジ、スズキ、チダイ、カタクチイワシ、コノシロなど)を観察・解剖し、魚類の外部・内部形態とそれらの機能特性について、深いところまで理解していただきました。

■20日午前中:大人のためのチリメンモンスター講座
 チリメンジャコ(=シラス干し)に混入しているモンスター(さまざまな魚種の仔稚魚、カニ・エビ・シャコの幼生、イカ・タコの子供)を拾い出した後、仔稚魚学の技術で種レベルまで同定していきました。チリメンモンスター探しは、小学校などで海洋生物の多様性について学ぶプログラムとして利用されていますが、高校生物の先生方とともに行うことで、より専門的な内容になりました。すでに授業で取り入れている先生方がおられ、センタースタッフも様々なノウハウを伝授してもらいました。

 今回の研修では、先生方から率直なご指摘・アドバイスをいただけて、センタースタッフの方もとても勉強になりました。新たな教材開発のアイデアも賜りました。またのご来訪をお待ちしております(加)。
 
チリモンを同定しているところ
 

2013年10月19日土曜日

茨城大学理学部の地質環境科学実習

10月15〜19日に,茨城大学の地質環境科学実習を行いました.参加者は,理学部の地球環境科学コース,学際理学コース,物理学コースの学生19名とTA2名です.

期間中は主に以下のような日程で,地形や地層の観察法を学びました.
 1日目:浅海底コアを用いた堆積物の記載練習
 2日目:簡易水槽を用いた実験体験
 3日目:波崎海岸にてジオスライサー掘削と簡易測量
 4日目:センター周辺の下総層群露頭での堆積構造観察
 5日目:センター周辺の散策

2日目に台風が接近するなどハプニングもありましたが,皆さん熱心に地層や地形を観察していました.来年度は9月末または10月中旬の開催を予定しています.(山)

 1日目.浅海底コアの記載
2日目.簡易水槽実験で地層のでき方を観察
班に別れて実験を体験
3日目波崎海岸.この日は天候に恵まれました
オートレベルで海岸地形を簡易測量
ジオスライサーで掘削
取り出した堆積物を観察します
4日目.センター周辺の露頭で堆積構造の観察と記載
皆さん熱心に観察していました
最後に記念撮影

2013年9月27日金曜日

茨城大学大学院の国内実践教育演習を霞ヶ浦周辺で実施

9月25日~27日に、霞ヶ浦とその流域の市町村で、茨城大学大学院サステイナビリティ学教育プログラムの「国内実践教育演習」を行われました。参加者は、農学・人文学・理学・工学・教育学など様々な分野を専攻している大学院生19名と農学部・水圏センター・ICASの教職員5名です。なお、水圏センターの施設は、懇親会(バーベキュー)、ミーティング、発表会、宿泊などに利用されました。 

今回の演習の概要は、行方市とその周辺地域をフィールドワークの場とし、地域の方々へのヒアリングを通して、霞ヶ浦周辺で展開されている産業が地域振興や環境保全への貢献に現在どのように寄与しているか、あるいは今後どのように寄与できるかについて大学院生の立場で考えていく、というものでした。 

1日目の午前中は、行方市麻生保健センターで、行方市役所麻生庁舎の方々のお話。1日目の午後から2日目の夕方にかけては、農業グループ、商業グループ、漁業グループに分かれ、グループごとにヒアリング主体のフィールドワーク[ヒアリング先:行方市役所北浦庁舎、行方市観光商工課、霞ケ浦環境科学センター、きたうら広域漁業協同組合、コイ料理専門店の山源さん、佃煮加工業者の株式会社出羽屋さん、いもやさん、げんきの里さん、農家など]を実施しました。そして、3日目の午後には、水圏センター講義室で成果発表会が行われました。

各グループがヒアリングや議論を通じて導き出した結論は、どれも興味深いものでした。実習生のみなさん、3日間、本当におつかれさまでした。

今回の演習は、地域のみなさまのご協力なしに、実施することはできませんでした。この場を借りて、地域のみなさまに心より御礼申し上げます。(水圏センター職員一同)

市役所でお話を伺っているところ

霞ケ浦環境科学センターで霞ヶ浦の水質について教えてもらっているところ

懇親会開始! 屋外ではバーベキューも
 
佃煮屋さんからいただいた美味しい佃煮!ごちそうさまでした

成果発表会の様子


なめりーミコット(行方市の花のヤマユリの帽子と古代衣装をまとった、かわいらしいゆるキャラ)



2013年9月24日火曜日

東京農工大学の臨湖実習

9月24日~25日、東京農工大学の加藤先生と斎藤先生、学生15名が霞ヶ浦流域での実習の一環で、水圏センターに来所されました。北浦湖心での船上調査(湖沼環境の測定、底生生物調査、プランクトン調査)、実験室内での顕微鏡作業、ろ過作業やパックテストなどを体験していただきました。湖沼での調査は初体験という学生が多く、船上調査・実験室作業ともに、楽しんでいただけたようでした。また来年もお待ちしています。(水圏センタースタッフ&TA学生)

北浦の湖心へ向けて

白色セッキ板で透明度測定

水質測定器の説明(センタースタッフが説明中)

プランクトンネットでプランクトン採集

室内での顕微鏡作業 (顕微鏡用高性能デジカメの画像をモニターに映写中)

最後に集合写真











2013年9月20日金曜日

教育学部社会選修の実習「地域へのアプローチ」

917日(火)~20日(金)に、教育学部社会選修の授業「地域へのアプローチ」が、水圏センターを利用して行われました。参加者は、教育学部の小野寺先生、神奈川大学の横山先生、教育学部の14年生、TA学生の17名でした。実習の内容は、潮来市内旧牛堀町にあたる大賀・大生・釜谷・水原の3集落の農家・漁家計8名の方々への聞取り調査、土地利用調査、および村社(大生神社)での碑文・石塔の調査などでした。 

先生方からは、「昨年と同様、本年度も地域の皆様に温かく迎えていただき、学生はそれぞれに地域の生活や文化に関して知見を深めることができました。今回の経験は、座学では得ることのできないもので、それぞれ教職や公務員などを目指す上で良い経験となったと思います。末筆ですが潮来市役所の皆様、大賀・大生・釜谷・水原地区の皆様に御礼申し上げます。」とのご連絡をいただきました。どうもありがとうございます。 

いつも地形図を片手に地域の生物誌・自然誌を研究している当センターの教員&学生は、参加はできなかったものの、実習内容をとても興味深く感じていました。皆様のまたのご来訪をお待ちしております。(センタースタッフ)
 
集落の土地利用調査を行っているところ(水原地区にて)
 

2013年9月12日木曜日

福島高専の学生と茨城大工学部の先生・学生が来所

9月12日、福島工業高等専門学校の学生がインターンシップの一環で、茨城大学工学部の先生・学生と一緒に来所されました。北浦の湖心で、透明度や水温、溶存酸素量の測定、プランクトンの採集などを体験していただきました。この日は、風が穏やかで天気もよく、絶好の調査日和でした。(井)


湖心を目指して

透明度を測定

水温と溶存酸素量を測定

投げ込み式プランクトンネットでプランクトン採集

2013年9月11日水曜日

信州大学の先生・学生が臨湖実習で来所

9月の9日~11日、信州大学の山本先生と学生4名が来所されました。北浦周辺の水路の生物調査、北浦湖心での船上調査、実験室でのプランクトン観察などの実習を実施しました。また来年もお待ちしています。(井)
北浦周辺の水路における生物調査

北浦湖心へ向かうところ


採水作業
エクマンバージ採泥器とサーバーネット




2013年9月10日火曜日

東大研究チームの鹿島灘調査(秋)

9810日に東京大学大学院水域保全学研究室の佐野先生と大学院生5名が来 所され、鹿島灘の砂浜海岸で魚類調査を実施しました。修論研究の一部で行われているものです。今回で調査が一段落とのことで、安心しました。またの機会の来セをお待ちしております。

波打ち際での網を曳いているところ


理学部 陸水環境科学実習


9月2日~6日の5日間、理学部3年生を対象とした「陸水環境科学実習」が水圏センターで行われました。この実習では、センターの目の前に広がる北浦を調査フィールドに、陸水環境科学、とくに湖沼に関わる環境科学の基礎をじっくりと学びます。今回は、次のようなメニューでした。

<今回の実習メニュー>


1日目:バスツアー:霞ヶ浦(西浦)の自然・再生植物帯の視察
    カワヒバリガイ生息地の視察
カワヒバリガイとドブガイの濾過摂食実験
チャネルキャットフィッシュ駆除釣り大会
2日目:船上での湖沼調査、湖心部と沿岸部での環境要因調査・生物調査など
(クロロフィル量の測定、ユスリカ幼虫の拾い出し・同定、動物プランクトンの同定・計数も学ぶ)など)
3日目:各種漁具(手網、投網、定置網、地曳網)での魚類の採集
魚類の観察・同定・胃内容物解析と食物網図の作成
4日目:実習の取りまとめ&小レポート作成
5日目:まとめのディスカッション

3日目は集中豪雨にあってしまいましたが、さまざまなメニューを楽しんでもらい、TA&教員も安心しました。実習生のみなさん、5日間、本当におつかれさまでした。また、いつでもいらしてください。(TA&教員一同)


集合写真

2013年9月2日月曜日

全長84cmの巨大チャネルキャットフィッシュが釣れました!

公開臨湖実習の期間中にKCB(霞ヶ浦チャネルキャットフィッシュバスターズ)主催で実施した巨大ナマズ釣りトーナメントで、千葉大Nさん(KCBへ入会)が今季最大のチャネルキャットフィッシュを釣りあげました。写真はからだが曲がっていてやや小さく見えますが、正式に計測すると全長は84cm、重さ6.5kgでした。

われわれの経験上、このサイズは、霞ヶ浦で釣獲される最大クラスです。茨城県内水面水産試験場の方々が霞ヶ浦で実施したチャネルキャットフィッシュの生態研究に関する論文(半澤, 2004; 半澤・野内, 2006; 半澤・荒山, 2007など)を参照すると、体長65.5cm(全長にしても70cm台)が最大サイズでした。しかし、これは刺し網などの漁具で捕獲したものだからと思われます。ウェブ上で検索すると、霞ヶ浦では80cmオーバーのチャネルキャットフィッシュを釣り上げている人が幾人かいらっしゃるようですが、正式な記録として残していたり、標本として保管していたりすることはなさそうです。そのため、今回、霞ヶ浦で釣りあげた個体は、正式に標本として残しておこうという話をしています。
巨大ナマズ


巨大ナマズとふつうのチャネルキャットフィッシュ





なお、FishBaseには世界最大のチャネルキャットフィッシュは全長132cmと記されています。日本国内でのチャネルキャットフィッシュの最大サイズについて調べてみると、日本記録は矢作川で釣られた全長120cmのようです。また、岐阜県下小鳥ダムでもニジマスを餌に全長92cmを釣り上げたとする報告もあります(片野ら, 2010)。どちらも標本記録や証拠写真を見つけることはできなかったのですが、90cm前後であれば十分にありうる記録です。近いうちに、霞ヶ浦でもさらに大きな巨大ナマズを釣り上げることができるかもしれません。

KCB会長 K










2013年8月30日金曜日

明石高専と岐阜大学の実習

8月26日~30日の5日間、明石工業高等専門学校の学生がインターンシップ実習の一環で来所されました。水圏センターの教員&TA学生とともに、次のようなかたちで、研究室の日常を体験していただきました。

1日目:

  午前~夕方:地形・地質に関する実習
    ・常陸川水門の視察
    ・波崎海岸(神栖市)で堆積物の観察
    ・鹿島港のみなと公園で3.11大震災の津波被害の視察
    ・潮来市日の出地区の住宅街で液状化被害の視察
  夜:外来魚チャネルキャットフィッシュの駆除釣り

2日目:西浦・北浦の湖岸で魚類調査

3日目:水圏センターの調査船で、北浦の湖心部の環境要因調査・生物調査。
  (環境データ解析、クロロフィル量の測定、ユスリカ幼虫の同定・計数など)
4日目:
   ・霞ケ浦環境科学センターの見学
   ・農学部の研究施設で放射線物質計測の見学
      ・西浦の自然植生帯の見学
      ・特定外来生物カワヒバリガイの生息地視察
      ・北浦の動物プランクトンの採集と同定

5日目: 実習成果のとりまとめ&プレゼンの準備

*5日間、本当におつかれさまでした。明石高専のみなさま、また、いつでもいらしてください(センタースタッフ)


*明石高専実習が行われていた8月26日~28日には、岐阜大学のM先生・学生と矢作川研究所の研究員1名も来所されていました。予期せず、合同実習のようなかたちで、霞ヶ浦で魚類の採集調査などの実習を行いました。岐阜大学のM先生からは、逆にこちらのスタッフ&学生がさまざまなことを教えてもらいました。とても有意義な情報交換もできました。またの来セをお待ちしております。(センタースタッフ&TA学生一同)
 
地曳網で実験用のワカサギを捕獲中


投網体験!
中国原産オオタナゴ


夜に釣れたチャネルキャットフィッシュ



チャネルキャットフィッシュの解剖 (胃からはハゼ類とエビが出てきた!)



地元食材で懇親会を!

 







2013年8月23日金曜日

公開臨湖実習「追跡!巨大ナマズ~霞ヶ浦で徹底調査~」が大盛況!

 8月19日~23日の5日間、全国の学生を対象にした公開臨湖実習「湖沼環境問題の最前線~霞ヶ浦での調査・実験から理解する~」が、水圏センターで行われました。キャッチフレーズは、「追跡!巨大ナマズ~霞ヶ浦で徹底調査!」です。 

 巨大ナマズ(=外来魚チャネルキャットフィッシュ)や最新の湖沼環境問題などに興味のある、12大学(北海道大、北海道教育大、帯広畜産大、酪農学園大、いわき明星大、茨城大、埼玉大、千葉大、東京農工大、東洋大、立教大、長崎大)の学生(学部1年生~博士後期課程3年生)19人が参加してくださいました。終始、大盛況!でした。今回の実習メニューは次のようなものでした。

<実習メニュー>
 首都圏に位置しさまざまな湖沼環境問題に直面している霞ヶ浦を調査フィールドに、環境調査や水生生物調査を行い、湖沼の環境と生物科学の研究手法を身につける。水質悪化や外来生物の侵入などの湖沼環境問題についても学ぶ。

・船上での湖沼環境調査、実験室内での水質分析 ・プランクトン・底生動物の採集と観察・同定
・魚類の各種漁具(手網、投網、定置網、地曳網)での採集と観察・同定・胃内容物解析
・特定外来生物チャネルキャットフィッシュの釣獲調査
 (実習期間中はナマズ駆除釣りトーナメント)
・カワヒバリガイ(外来種)とドブガイ(在来種)を用いた濾過摂食実験
・湖周辺の地形・地質の観察
・観光バスで霞ヶ浦周遊
・霞ヶ浦環境科学センターの見学
・まとめのディスカッション
 実習生には、このような多岐に渡るメニューについて個々の視点で学んでもらいました。最終日に、湖沼環境問題について参加者全員で自由に意見交換をしたところ、興味深い感想や考察がいくつも出てきて、センタースタッフ&TA学生もとても良い刺激をもらいました。同じような興味を持った他大学の学生たちが交流できる大変貴重な機会にもなりました。 

実習生のみなさん、5日間、本当におつかれさまでした。また、いつでもセンターにいらしてください。(センタースタッフ&TA学生)
 
夕方のナマズ駆除釣り大会

駆除されたナマズ(期間中で30尾!)

船上での湖沼観測

ベントスのソーティング

地曳網をひいているところ ワカサギ・シラウオが採れました!

投網体験中

魚類を同定中

懇親会 BBQ

巨大ナマズ!と記念撮影